| 《金》 |
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| 湧水に踊る砂(いさご)や秋うらら |
小澤 香 |
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| 岩肌に夕日染み込む野分後 |
角田智子 |
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| 野の花の紅きを手折り汀女の忌 |
かしまゆう |
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| 《銀》 |
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| 待宵に君の紫煙のただよへり |
坂ゆかり |
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| 野仏やたふれて朱き曼珠沙華 |
板垣道代 |
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| 暮れがたの竿をはなるる蜻蛉かな |
板垣道代 |
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| 乱雲に金のふちどり野分あと |
釈 定子 |
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| 稲の花母の生家の遠くなり |
池田良子 |
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| 稲の花父は口数少なくて |
小澤 香 |
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| 神領の空の広さよ守武忌 |
佐野佳代子 |
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| 木犀の留守を灯して香りけり |
長沼玲子 |
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| 白萩や濡れると決めてからの雨 |
長沼玲子 |
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| 箸袋畳んでゐたる秋思かな |
長沼玲子 |
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| 竜胆や嘘をつくのが下手な人 |
西村麻紀 |
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| 読みかへす一葉のあり夏の果 |
秋山よし美 |
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| 螻蛄鳴く鄙びた宿の文机 |
角田智子 |
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| 稲の花子の声戻る通学路 |
磯崎憲子 |
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| 野分中皿に並べし握り飯 |
鹿野寿美子 |
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| パエリヤの具を選り分けて星月夜 |
北村英子 |
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| アルバムに句座の一同子規忌かな |
深澤寛子 |
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| かくれんぼ果てそれぞれの灯に帰る |
宮沢恵理 |
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| 一番にみつけてほしいかくれんぼ |
なお |
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| 織音のとんとんからり野分あと |
山中悠嘉 |
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| 寄り合ひの灯消えて夜半の秋 |
高木美貴子 |
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| 子規の忌の手に返球の確かなる |
和田始子 |
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| ★香さん、湧き水に舞う砂の動きを捉えて、秋の穏やかな明るさを表現し |
| ている。澄んだ水の美しさや透明感、水底まで届く光、澄み切った大気や |
| 空、そこに佇む作者の満ち足りた心持ちが伝わってくる一句。 |
| ★智子さん、上五中七の措辞が秀逸。野分の過ぎた後のひんやりとした冷 |
| 気が感じられる。山々の岩肌に及ぶ夕日の鮮やかさが、野分後の安堵感と |
| 夕暮れの寂寥感と相俟って、胸に迫ってくるようである。 |
| ★ゆうさん、「風花」を主宰し、「今日に心新しくあれば風も新た花も新 |
| た」という言葉を残した中村汀女。自然を、日常をいとおしみ、慈しみ、 |
| 情感豊かに詠い上げた汀女のまなざしや姿勢、生き方を思わせる作品。 |
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| ●ゆかりさん、名月を翌日に控えた宵の月。紫煙に託されたものとは? |
| 二人の距離?恋の行方か。●道代さん、野仏の句、倒れても朱さを失わ |
| ない、また、倒れているからこそ朱さが際立つ。野仏との対比も、色彩 |
| 的にも質感的にも効果的で、曼珠沙華の本質に迫っている。 |
| 蜻蛉の句、夕暮れと蜻蛉の動きの一瞬の邂逅を、自分の身に引き寄せて |
| 掬い上げ、一句に昇華している。●定子さん、野分の過ぎ去った後に広 |
| がる鮮やかな夕焼けの美しさを上五中七の措辞で見事に表現している。 |
| ●良子さん、遠くなったのは物理的な距離ではない。何か会うことが叶 |
| わぬ事情があるのかもしれない。季語に母に寄せる深い思慕の念。●香 |
| さん、真面目で働き者の父親の姿と、父を思う娘の優しさが伝わってく |
| る。●佳代子さん、守武忌は伊勢神宮禰宜の長官、荒木田守武の忌日。 |
| 伊勢在住の作者にとって、俳諧を文芸にまで高めた守武への思いは格 |
| 別であろう。空の広さにそれが託されている。●玲子さん、木犀の句、 |
| 中七下五の措辞に、花の明るさ、香りの強さ、静けさが表現されてい |
| る。箸袋の句、日常の細やかな所作に目を留め、女性の繊細な心の襞 |
| を詠んでいる。●麻紀さん、「竜胆」の斡旋が見事。端正で慎ましい |
| 花の風情に、正直で素朴な人物像を表現している。●よし美さん、 |
| 夏の思い出を彷彿とさせる一枚の葉書。夏を惜しむ気持ちと、差出主 |
| への思いがうかがえる一句。●智子さん、山奥の古い宿のたたずまい |
| が諧謔味を以って詠まれている。●憲子さん、子どもへの優しいまな |
| ざし。空間の広がり、時間の移ろい。●寿美子さん、取合せの妙。 |
| 野分の不安感、日常から非日常へ逸れてしまうような危うさ。●英子 |
| さん、季語から、和やかなひとときやムール貝がバランスよく配され |
| たサフランライスの鮮やかな黄色や海老の赤などが見えてくるよう。 |
| ●寛子さん、作者の子規への尊敬の念と親しみが感じられる。●恵理 |
| さん、楽しく遊んだ余韻と、もう少し遊びたい気持ちをひきずりなが |
| ら家路につく子供たちの気持ちが伝わってくる。●なおさん、かくれ |
| んぼの鬼は大好きな人。素直な思いがまっすぐに伝わってくる。●悠 |
| 嘉さん、野分後の穏やかさ、静けさ、いつもの日常に戻った安堵感が、 |
| リズミカルで軽やかな織音に託されている。●美貴子さん、話し合い |
| を重ね、遅くまで及んだ寄合。灯が消えて感じられた秋の夜の静寂や |
| 侘しさに、寄合を終えた開放感と憂いが重なる。●始子さん、日本に |
| 野球が伝わった時から野球に熱心であった子規。グローブにしっかり |
| と受け止めた球の手ごたえは、子規から現代に受け継いだ俳句に対す |
| る作者の真摯な姿勢の表れであろう。 |
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